妊娠と葉酸について

葉酸とは

葉酸とは、ビタミンB群の水溶性ビタミンのことで、細胞の分化に不可欠な栄養素です。1941年にホウレンソウの葉から発見されました。

ビタミンB12とともに、赤血球の生産を助ける造血に必要なビタミンであり、また、タンパク質や核酸の合成に働いて細胞の生産や再生を助け、体の発育を促してくれます。

葉酸は、その名称と由来から植物性食品だけに含まれているように思われがちですが、動物性食品であるレバーなどにも多く含まれています。

また、お酒を大量に飲む人、アスピリンや避妊薬のピルを飲んでいる人は、葉酸不足になりがちです。

葉酸は赤血球の生産を助けますから、葉酸不足になりますと、生活習慣病などの心血管系疾患や、悪性の貧血(巨赤芽球性貧血)を引き起こす原因にもなります。

なぜ妊娠と葉酸なのか?

妊娠初期(4週〜12週)の胎児の細胞分裂がさかんな時期に先天性の疾患をまねくリスクがあり、特に、「二分脊椎症」などの神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなる、また、授乳期の赤ちゃんの発育に遅れも指摘されています。

妊娠前後、受胎前後に十分量の葉酸を摂ることによって、二分脊椎(にぶんせきつい)や無脳症などの神経管閉鎖障害(しんけいかんへいさしょうがい)のリスクが低減できることが、昨今の多くの研究から明らかになってきています。

アメリカでは、疾病管理センター(CDC:Center for Disease Control) による、葉酸摂取と神経管閉鎖障害に関する研究から、1992年より妊娠が可能なすべての女性に「葉酸を一日400μg 摂取しよう」という勧告をしています。

日本では、2002年からは母子手帳にも葉酸に関する記述が記載されるようになりました。

葉酸はいつから摂ればよいの?

アメリカでは妊娠が可能な女性は「葉酸を一日400μg 摂取しよう」という勧告が出ていますし、日本では、胎児の神経管閉鎖障害の発症および再発を予防するための葉酸400μg/日の摂取は妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間に摂ることが望ましいとされています。

ですから、妊娠をご希望の方はあらかじめ摂取している方が良いでしょう。

葉酸はどれくらい摂れば良いの?

12歳以上の男女とも、食事性葉酸として240μg/日が、妊婦の付加量として+240μg/日、授乳婦の付加量として+100μg/日が、必要量を満たす推奨量とされています。

ここでまず知っておかねばならないのが、食事性葉酸と、加工食品やサプリメントなどに添加されている葉酸(モノグルタミン酸型葉酸、プテロイルモノグルタミン酸)の違いです。

食事性葉酸は、相対生体利用率が約50%と考えられています。それは、食品からの葉酸は、食べた量の半分しか体内利用できないと考えられているからです。例えば、生体内で葉酸が10必要だとしたら、葉酸を20含む食品(野菜や肉等)を食べましょう、というのが食事摂取基準の値です。

ですから、胎児の神経管閉鎖障害のリスク低減のための付加量400μg/日は、加工食品やサプリメントなどに添加されているモノグルタミン酸型葉酸、プテロイルモノグルタミン酸の量として示さたものですから、これを食事性葉酸に換算すると2倍の800μg/日に相当します。

「妊産婦のための食生活指針」 (厚生労働省) によれば「妊娠初期の人には、神経管閉鎖障害発症リスク低減のために、葉酸の栄養機能食品を利用することもすすめられます」とあります。

ですが、1日1 mg (=1000μg) は超えないようにとされていますので、摂取量に注意することは大切です。

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